勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし
photo by 松浦家のお殿様│松浦史料博物館
勝ちに不思議な勝ちあり
負けに不思議な負けなし
- 松浦 静山 (松浦清 - Wikipedia)
プロ野球の野村克也元監督の名言として知られる言葉だが元は松浦清山の言葉だそうだ。
ちなみにWikipediaでは本明の松浦清(まつらきよし)となっているが後に静山と号した事から、松浦静山(まつらせいざん)の名が有名。
松浦清山は江戸時代後期の平戸藩主で、大名でありながら武道の達人で、剣術に至っては「田宮流・新陰術・心形刀流」の免許皆伝。武術に関して弓道・柔術・馬術・砲術を修練してたそうです。
この名言は松浦清山の剣術書「剣談」のなかに収められた1文。
そんな剣術や武術に長けた松浦清山だが大名としても有能だったらしい。
第9代平戸藩主を継ぐべきだった父が早世し、急遽その後を継ぐ事になり、16歳にして藩主の座についたが、その頃の平戸藩は大変な財政難。
そこで藩主になってから2年後に「平戸溝財政再建計画」を発表。経費を節約するため様々な行政改革を断行し倹約を徹底させ、市場開拓や市場拡大を行い税収をアップさせ財政を立て直しました。(以下その一部を抜粋)
- まず藩内の武士ならびに民は節約を実行すること
- 国の財源の根本は農業である。そこで、藩内各地に新田・新畑を開拓すること
- 新田・新畑の開発や殖産に必要な耕牛ならびに農機具は藩から貸与すること
- 別に楢・櫨・桑などを植林し蚕を飼い、和紙・ローソク・生糸の生産に勤しむこと。また縄やムシロづくりもおこなうこと
- 衣食住全般にわたり節約すること
- 不幸な人びと・貧しい人びとの治療は医師に無料でおこなわせること
- 魚市場を新しく設けること
武道にも長け、政治家としての能力も併せ持つ松浦清山の名言は投資にも繋がるのではないでしょうか?
勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし
直訳すれば、「勝つときは運(ビギナーズラックなど)で不思議と勝つときがあるが、負ける時は必ず原因と理由がある」と言う意味だと思うが、実はこの言葉は「剣談」で以下の様に語られている。
道を貴び術を知れば心勇ならずと雖(いえど)も必ず勝つ。
道に背き術に違えば必ず負く。
つまり、
道に従えば勇ましさがなくても必ず勝つ。
道に背けば必ず負ける。
と説いているのだ。
「道」には中国古典の言うところの「道」と言う意味だと思うが、あえて投資の世界で「道」を読み解くとしたら、それは「ルール」だと思う。
自分を見失って「道(ルール)」に背けば必ず負ける。そして「負け」には必ず理由と原因がある。負けた原因を分析して同じ過ちを繰り返さないこと。
そして逆に「道(ルール)」に従えば必ず勝つ。しかし「勝ち」には不思議な勝ちがあるから、常に身を引き締めて何故勝てたのかを分析する必要がある。
投資家的な目線でみるとこんな意味でしょうか。
もちろんルール(買い入れや損切のタイミング、資金運用、テクニカル分析)などをしても負けることはありますが、勝ちに浮かれず、負けに凹まず、冷静に自分の道を分析して、負ける確率を下げる事が投資の必勝パターンだと思います。
この名言は深いですね。